Technical. 技術資料
Q 1
TPEとは?
A
TPE(Thermoplastic Elastomer)は、熱可塑性エラストマーの総称で、一般的に流通するTPEは次の分類になります:
TPS (Thermoplastic Styrene) または (TPR)スチレン系 TPU (Thermoplastic Polyurethane)ポリウレタン系
TPEE (Thermoplastic Polyester Elastomer)ポリエーテルエステル系
TPO (Thermoplastic Olefin)ポリオレフィン系
TPV (Thermoplastic Vulcanizate)動的架橋型
具体的には常温ではゴム、高温ではプラスチックの性質を持つ物質ですが、ゴムとプラスチックの双方の性質を部分的に受け継いでいる中間的な材料とも言えます。
Q 2
TPEの成形条件は一般プラスチックとどう違う?
A
TPEの成形条件は、一般的なプラスチックとは若干異なり、ソフトセグメントの比例が大きいほど、冷却時間が長くなります。加えて、金型への食らいつきが大きいので、「キャビとられ」が発生しやすいです。こういった現象は材料の特性に合わせた成形条件や金型の設計により調整することができますが、材料ごとに特性が異なり、生産不良を回避するために設計段階に材料要素の想定が必要です。なお、TPEの適切な生産温度はさまざまであり、成形技術に関する各種技術資料請求・お問合せなどはお気軽に当社までご連絡ください 。
Q 3
TPEの硬度範囲?
A
TPEの柔らかさ、硬さはゴムと同様に「硬度」として数値化します。通常、ショア硬度が主流的であり、硬度範囲はSHORE C20(最も柔らかい)からSHORE D72(最も硬い)まで、非常に広いです。
下記は各TPEの対応硬度範囲です :
下記は各TPEの対応硬度範囲です :
TPS (スチレン系) / ショア A 0(ショア C 20)~ショア D 65
TPU (ポリウレタン系) / ショア A 60 ~ショア D 72
TPO(オレフィン系)/ショア A 50~ショア D 65
TPV(動的架橋型)/ショア A 30~ショア D 65
TPEE(ポリエステル系) / ショア A 85~ショア D 72
Q 4
TPEの加工方法
A
TPEは熱可塑性であるため、加熱により成形できます。主な成形方法は、射出成形 (単色成型または2色成型)、押出成形 (単色押出または2色以上押出)、ブロー成形、中空成形などの材料仕様があります。各種エラストマーに関する製造条件についてはお気軽にお問い合わせください 。
Q 5
TPEの耐薬品性
A
TPEは耐酸性及びアルカリ性に優れ、そして耐寒性(-40℃~50℃)、90℃~110℃程度の耐熱性(コンテナ輸送で夏場の気温に耐えられる)、耐薬品性に優れています。一方、耐油性は基本的に弱いです。グリス(浸すと膨潤する)、トルエン系、ベンゼン系溶剤、ガソリンなどに弱いです。耐薬品性の詳細については、当社までお問い合わせください。
Q 6
塑性加工用
A
TPEの添加で弾力性を高めることによりポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)など硬質プラスチックに強化および耐衝撃性を向上させることを期待できます。各種樹脂材料に対しての添加割合は、適用されるTPEの仕様によって異なりますので、まず当社までご連絡頂き、最適なTPE材料をご紹介致します。
Q 7
一般的なTPE種類?
A
● |
TPEE :
ポリエステル系 TPE
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>硬度範囲はショア A 85~ショア D 72程度で、熱可塑性エラストマーの中で反発力が最も優れています。 |
● |
T P U :
ポリウレタン系 TPE
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>射出グレードの硬度範囲はショア A 60~ショア D 72程度で、耐摩耗性は優れていますが、耐候性(黄変)と加水分解が主な欠点です。
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● | T P O : ポリオレフィン系 TPE |
>エラストマーの中で最高の耐候性(対紫外線)を備えていますが、硬度範囲が狭い (TPO-V を除く)。 |
● | T P V : 動的架橋型 TPE |
>PP樹脂とゴムを溶融混練させる過程で、ゴムを架橋(動的架橋)させて作られます。架橋型エラストマーは耐薬品性が良好で、引張強伸度、ゴム的性質(圧縮永久歪み、永久伸び)、耐熱性の点も優れています。しかし、耐摩耗性に弱く、ゴムのように高温に耐えられません。 |
● | T P S : スチレン系 TPE |
>TPEとしては最もポピュラーな部類で、熱可塑性エラストマーの中では比較的低コストで、ゴムに近い弾性率を持っています。他のTPEよりもやわらかく、硬度の範囲を大きく変えることができます。やわらかめのグレードが揃っているのもスチレン系TPEの特徴です。また他の樹脂との相性もよく、低温物性に優れるなど、ゴムの代替品としても活躍している材料です。 |