Technical. 技術資料

TPEの一般的なタイプの紹介

ポリウレタン系エラストマー
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ポリウレタン系エラストマー

ポリウレタン系エラストマー(Thermo Polyurethane)は、TPUと通称されています。
材料のソフトセグメントによってポリエーテル系とポリエステル系2種類に分けられます。
TPUは次のような特徴を持っています。


メリット :
1. 最高耐摩耗性
2. 高強度、高靭性、高透明度
3. 耐寒、耐油、耐疲労性に優れる

デメリット :
1. 加水分解
2. 耐候性に弱く、黄変しやすい
3. 製品の残留応力、キャビとられが発生しやすい

動的架橋型TPE
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動的架橋型TPE
動的架橋型熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Vulcanizate)は、TPVと通称されています。TPEはゴム弾性を⽰すソフトセグメントと架橋点の役割を果たすハードセグメントから成り、通常、常温ではハードセグメントは集合してドメインを形成します。

メリット :
1. ゴム的性質(圧縮永久歪み、永久伸び)
2. 幅広い硬度バリエーション
3. 耐油、耐熱、耐候性に優れる


デメリット :
1. 耐摩耗性に弱い
2. 透明仕様無し、比較的高価
3. 流動性が低く、製品にフローマークが発生しやすい
スチレン系エラストマー
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スチレン系エラストマー
スチレン系エラストマー(Thermoplastic Styrene)は、TPSあるいはTPRと通称されます。
スチレン系エラストマーは、非水素化 (SBS) と水素化 (SEBS)  2 分類に分かれています。
SBS 分子は二重結合を持っており、酸素、オゾン、紫外線などの悪影響を受けやすいです。
SEBSやSEPSは分子が飽和結合のため上記心配はありません。


メリット :
1. 他素材との接着性も高く、加工にも幅広く対応
2. 柔軟性、弾力性に優れ、最もゴム的性状を持つTPE
3. 成形性、柔軟性、機械強度等のバランスに優れる
4. 幅広い硬度調整に対応可能
5. 各種プラスチックの相溶化剤、改質剤として使用できます
6. 環境に優しく、無毒で、100% リサイクル可能


デメリット:
1. 耐汚染性、耐摩耗性、耐油性は劣ります
2. 引張強度はPVCより弱い
3. SEBS/SEPS成形品は表面への印刷の密着性が悪い

 
ポリエステル系エラストマー
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ポリエステル系エラストマー
ポリエステル系エラストマー(Thermoplastic Polyester Elastomer)はTPEEと通称されます。TPEEの主な分子構成は、ポリエステル(ハードセグメント)とポリエーテル(ソフトセグメント)、ポリエステルとポリエステル、液晶TPEEに分類されています。
市場で最も需要の多い仕様は、ポリエステルとポリエーテルの構成材料です。


メリット :
1. 機械的な強度が大きい
2. 耐薬品性や耐水性
3. 耐久性、耐疲労性に優れる
4. 低温柔軟性が高い


デメリット :
1. 硬度調整の幅が狭い
2. 耐候性に劣る
3. 耐熱老化性が不足

 
ポリアミド系エラストマー
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ポリアミド系エラストマー
ポリアミド系エラストマー(Thermoplastic Polyamide Elastomer)は、TPAと通称されます。
TPAの構成はポリエステル系・ポリエーテル系など(ソフトセグメント)とナイロン樹脂(ハードセグメント)です。
基本的にはナイロン樹脂の特性を持っています。


メリット :
1. ナイロンと同様に実用的な成形加工性に優れる
2. ナイロンの強靭な性質を有する
3. 耐薬品性、耐摩耗性も優秀
4. 耐衝撃性良好


デメリット :
1. ゴム弾性がやや乏しい
2. 加水分解
3.コストが高い
4.リユース材料は変色しやすい